新国立劇場「パッション」(21回公演の14回目)
○2015年10月29日(木)19:00〜21:45
○新国立劇場中劇場
○1階19列47番(1階中央最後列)
○ジョルジョ=井上芳雄、フォスカ=シルビア・グラブ、クララ=和音美桜、リッチ大佐=福井貴一、タンブーリ軍医=佐山陽規、ルドヴィク/リッツォーリ少佐=原慎一郎、トラッソ中尉=伊藤達人、バッリ中尉=KENTARO、ロンバルディ軍曹=藤浦功一他
○翻訳:浦山千鶴、訳詞:竜真知子
音楽監督:島健、小林恵子指揮
○宮田慶子演出


 全体的な批評は初日と変わらないので、こちらをご参照下さい。
 初日に見落としていた点を中心に補足のレポートをします。

 幕が開くと中央のベッドで愛し合うジョルジョとクララ。ベッドから降りたクララがまとっていたシーツを脱いでネグリジェを着るのに手間取る。
 第2場、アウジェンティが届けに来た手紙をトラッソが取り上げ、そのうちの1通をジョルジョに渡す。これに伴い、台本上はアウジェンティのセリフである「バケッティ大尉に恋人からの手紙」云々のセリフをトラッソが語る。
 リッチのセリフの中の"passion"は「夢中になるのは(本だけ)」と訳す。
 フォスカが登場して最初に歌う短い2フレーズのうち、"I came to thank you for the book."はセリフ、"I would have sooner, but I've been so ill."は歌っているように聴こえた。
 第3場終盤のフォスカのソロで"We hear music."を「私たちはメロディ」と訳す。
 第4場、ジョルジョの休暇が認められると、トラッソは不満そうに席を立って下手へ退場。
 第6場に登場する"passion"の訳は「熱烈な愛情」。ただし、軍医が言いかけるのに被せてジョルジョが語る。

 "Flashback"でのアンサンブルが乱れる。福井は高音が不安定、フォスカの両親の「オーストリア、ルドヴィク伯爵」のフレーズがハモるべきなのにユニゾンになったところがあった。また、締めくくりの重唱(フォスカの両親、リッチ、ルドヴィク伯爵、愛人)を兵士たちがリフレインする。これは手元のCD、DVDで確認する限りどこにもない。
 第11場、軍医とのやり取りの後ジョルジョは、下手花道に並ぶ士官たちの前を敬礼もせずに通り過ぎて退場。士官たちの"I'll say."(もちろん)の最後は「もち」のみ。
 第13場終盤のジョルジョのソロは97年ロンドン公演版と同じ。ホリゾント中央に上下に貫く赤い線が現れる。

 この日もカーテンコールでスタンディング・オベーション。

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