ヴァイグレ指揮読響
〇2026年7月31日(金)19:00〜21:05
〇ミューザ川崎シンフォニーホール
〇2階CB6列9番(2階中央ブロック最後列下手側)
〇ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番ハ短調」Op37
(約34分)(12-10-8-6-4)
+シューベルト「楽興の時第3番ヘ短調」D780の3(以上P=鈴木愛美)
 ワーグナー/デ・フリーヘル「ニュルンベルクのマイスタージンガー」〜オーケストラル・トリビュート
(16-14-12-10-8、下手から1V-2V-Vc-Va、CbはVcの後方)(コンマス=日下)

登場人物の心情まで伝わる

 常任指揮者ヴァイグレ指揮の読響、今月4つ目のプログラムはサマーミューザでの公演だが、ここでもオール・ドイツ音楽。9割程度の入り。

 ベートーヴェンのピアノ協奏曲を弾く鈴木愛美は2023年日本音楽コンクール第1位、翌年浜松国際ピアノコンクールで日本人初の1位になって以降注目されるように。
 第1楽章、ほぼ標準的なテンポ。オケの重厚な前奏の最後の音が終わり切らないうちに弾き始める。114〜117小節目のfのテーマをしっかり鳴らし、118〜121のpのフレーズはややテンポを緩める。164以降の変ホ長調の第2主題も丁寧に歌う。
 416のオケの和音が終わらないうちにカデンツァを弾き始める。
 第2楽章、ピアノの丁寧なソロに12以降木管と弦が優しく寄り添う。
 アタッカで第3楽章へ。軽めのタッチで先導するピアノを、重心の低い響きのオケがしっかり支える。
 かつてこの曲に挑んだ日本のピアニストたちは、ほとんどみな眉間にしわを寄せ、修行僧の難行苦行のように弾いたものだが、鈴木はそんな様子は微塵も見せず、何事もなかったのように弾き通す。時代は変わったものだ。
 アンコールのシューベルト「楽興の時」は愛らしい演奏。

 後半はオランダの作曲家・編曲者のヘンク・デ・フリーヘルが「マイスタージンガー」の名場面をオケ版でまとめたもの。
 第1幕への前奏曲をほとんどそのまま活用、終盤で教会の合唱が短く挿入される。
 第1幕からは親方たちの入場の場面。「資格試験の動機」が低音部で繰り返される。
 そこからいきなり飛んで第2幕冒頭、徒弟たちの合唱。ヨハネ誕生祭の前夜、楽し気に歌う徒弟たち。
 第2幕からは続いてザックスの独白の場面。靴造りをするもはかどらず、ニワトコの花の匂いに酔いながらヴァルターの歌を思い返している。
 早くも第3幕の前奏へ。Vcの「諦念の動機」を丁寧に歌わせ、「目覚めよ」の合唱のテーマをHrが提起。
 続いてザックス、ヴァルター、エファ、ダーヴィット、マグダレーネの五重唱へ。希望と幸福を歌う4人をよそにザックスだけはエファへの想いを諦める。
 次に組合たちの行進の音楽へ。仕立屋たちの行進では、金管のトリルで羊の声を表現。親方たちの入場へと続く。
 それが一段落したところで、いよいよヴァルターの「楽園のエファ」。
 最後はザックスによる「親方たちの芸術を尊重してほしい」のソロ、そして最後の大団円へ。

 ヴァイグレの指揮は冒頭主題のフレージングから実に雄弁、各場面の音楽もメロディ担当の楽器が歌手のようによく歌う。単に楽劇の舞台が見えてくるだけでなく、そこで歌っている登場人物たちの心情まで伝わってくる。

 団員解散後ヴァイグレの一般参賀。今月は文字通りヴァイグレ月間だったなあ。

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