ウィーン八重奏団
〇2026年4月21日(火)19:00〜21:15
〇武蔵野市民文化会館大ホール
〇2階38列27番(2階最前列中央)
〇モーツァルト「フィガロの結婚」K492序曲(八重奏版)(下手から1V-2V-Va-Vc-Cb-Hr-Fg-Hr)
同「クラリネット五重奏曲イ長調」K581(約30分、繰り返し全て実施)(下手から 1V-2V-Cl-Va-Vc)
シューベルト「八重奏曲ヘ長調」D803(約58分、第1楽章提示部以外繰り返し実施)(下手から1V-2V-Va-Vc-Cb-Hr-Fg-Hr)
+ヨハン・シュトラウス2世「アンネン・ポルカ」Op117、エドゥアルト・シュトラウス ポルカ・シュネル「速達郵便で」Op259
〇V=ヤメン・サーディ、カタリーナ・エンゲルブレヒト、Va=セバスティアン・フューリンガー、Vc=ヴォルフガング・ヘルテル、Cb=クリストフ・ヴィマー・シェンケル、Cl=マティアス・ショルン、Fg=ベネディクト・ディンクハウザー、Hr=ヨーゼフ・ライフ
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チェロが要のアンサンブル
1947年ウィーン・フィルのコンサートマスター、ヴィリー・ボスコフスキーを中心に創設されたウィーン八重奏団が、メンバーの世代交代を経て今年も来日。第1Vのサーディはウィーン・フィル最年少のコンサートマスター、Cbのヴィマー・シェンケルとClのショルンは首席奏者。女性奏者(エンゲルブレヒト)も加わっているのが21世紀らしい。ほぼ満席の入り。
「フィガロの結婚」序曲、冒頭の7小節はFgと弦五部による演奏なので、オリジナルのオケ版と変わらない。その後は8人による全奏。引き締まった中にも温かみを感じさせる響きが心地良い。95小節目以降、V2人が上昇音型のフレーズを2回繰り返し、3回目にFの音を延ばしたところに、一呼吸間を置いてFgやVa以下の弦が加わるところなど、ウィーン・フィルならではのフレージングが、少人数アンサンブルだとより鮮明になるところが面白い。
演奏後の拍手がフライング気味。
クラリネット五重奏。Clを中心に下手にV2人、上手にVaとVcが挟む配置。
第1楽章、穏やかな響きの弦の序奏にClも控え目に加わる。19以降ClがV2人に加わるよう促し、25ではVcに入るよう誘い、26からVcのソロに続いてVa以下の三重奏となる。あからさまに仕草でアンサンブルを整えようとしたのはこの場面くらい。あとは阿吽の呼吸で進む。
最後の小節の3つの和音はfだが、音量は抑え目。
第2楽章、細心の注意を払った丁寧な響きに酔う。Clの弱音の美しさは言うまでもないが、Vcが存在感を発揮し始める。一つとして不明瞭な音がない一方で、殊更に低音を強調することもなく、絶妙なバランスを保つ。特に最後から2小節目(84)の16分音符の3連符が続くフレーズなど、単純な音型なのに優しさに満ちている。
第3楽章、一転して各楽器が伸びやかに歌う。弦のみによるイ短調のトリオには、青春時代の満たされぬ恋の痛みが込められ、Clも加わる2つ目のトリオには、ささやかだがほのぼのとした幸福感にあふれている。31以降のVcからClにフレーズが受け継がれるところも聴き応え十分。
第4楽章、少し速めか。第1変奏では軽やかにClが舞い、イ短調の第3変奏における沈んだ雰囲気が第4変奏のClの16分音符による技巧的なフレーズで一掃されるのも楽しい。
コーダのアダージョ部分とアレグロ部分のテンポの差も大きめに付け、ホール全体に爽やかな風が吹き抜ける。
八重奏曲第1楽章、ためらいがちの序奏からようやく決心がついて19以降、第1主題が快活に駆け始める。
第2楽章、クラリネット五重奏第2楽章の再現のようなClと第2V以下の弦4人とのアンサンブルが心地良い。
第3楽章、弦5人のpの問いかけに5以降管3人も加わってfで応える。明るく和やかな音楽。トリオは弦を中心とする教会音楽風の響きに癒される。
第4楽章、素朴な民謡風の主題に基づく変奏曲。1Vが駆け回る第1変奏、弦の細かい刻みの上を管が歌う第2,3変奏、Vcが縦横に活躍する第4変奏、ハ短調の激しい音楽となる第5変奏、変イ長調の穏やかな響きが美しい第6変奏。第7変奏で興奮が頂点に達した後、152以降のピウ・レントで徐々に心を鎮めてゆく。演奏後「ブラヴィー」の声がかかる。
第5楽章、そよ風が吹きわたる草原を思わせるような、伸びやかなメロディが印象的。変ロ長調のトリオはフォークダンス風。
アタッカで第6楽章へ。冒頭のVcとCbのトレモロ、ppから急激にfへクレッシェンドするが、響きが全く荒っぽくならない。18以降の第1主題、嵐が過ぎ去ったのを弦が喜び歌うと、管もこれに加わる。
終盤の370で冒頭の低弦のトレモロが再現、376以降の第1主題の再現でテンポを一段上げ、最後まで一気に駆け抜ける。
全体を先導するはずの第1Vは気品ある音だがやや線が細い。むしろVcが8人の扇の要となってアンサンブルをまとめているのが印象的。
カーテンコールでは、ここまで唯一タブレットのスコアを使っていたサーディが紙の楽譜を見せながら登場。普通なら「アンネン・ポルカ」でほっこり終わるところだが、再登場して2曲目の準備を始めると客席から「スゴイ!」の声が。陽気で技巧的なポルカ・シュネルで再び聴衆を熱狂させて終わる。1階ではスタンディング・オベーションもちらほら。
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