札幌交響楽団東京公演2022
○2月8日(火)19:00〜21:00
○サントリーホール
○2階C12列20番(2階正面最後列ほぼ中央)
○ベルリオーズ 劇的交響曲「ロメオとジュリエット」より「愛の場面」
 伊福部昭「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲」(V=山根一仁)(7-7-6-6-4)
 シューマン「交響曲第2番ハ長調」Op61(約35分、第1楽章提示部、第2楽章主部繰り返し実施)

 (13-12-9-8-7、
下手から1V-2V-Vc-Va、CbはVcの後方)
〇ユベール・スダーン指揮

上京に感謝、次こそ札幌で

 昨年創立60周年を迎えた札幌交響楽団は、2年前に東京公演を行った。ちょうどコロナの流行がそろそろ日本でも始まりつつある時期で開催が危ぶまれたが、何とか予定通り行われ、ホッとした気分で聴いたことを昨日のことのように覚えている。今回も北海道、東京含めまん延防止措置が実施されている最中で海外からの渡航制限も続いている。このため、当初予定されていた首席指揮者のバーメルトが来日できず、代役として1975年以来たびたび共演してきたスダーンが登場することとなった。しかも、今週に入ってからの北海道の豪雪で、昨日は札幌発着のJRが全て運休するという異常事態。苦労して上京した団員達も多かったはず。そのような様々な困難を乗り越えての開催となったが、客席は外出自粛の空気が影響したのか、半分弱の入り。ただ当日券を求める長い行列ができていた。
 
 スダーンは指揮台なし、指揮棒なしで振る。
 ベルリオーズ「ロメオとジュリエット」は大編成のオケに独唱、合唱が必要な曲でなかなか演奏されないが、第3部の「愛の場面」は金管がHrのみという小編成。弦による夜の静かな情景描写、木管による舞踏会の余韻、そしてVaとVcによる愛のテーマが核になって徐々に感情が高まってゆく。洗練された弦の響きが印象的。演奏後指揮者がVaとVcを立たせる。

 伊福部は釧路生まれ、北海道所縁の作曲家。「協奏風狂詩曲」は1948年に作曲されたヴァイオリン協奏曲を51年に改作、改題したもの。北大の学生オケでコンマスを務めた彼にとってこだわりのある作品と言われる。札幌出身の山根を含め同じ組合せで先月札響として初演したばかり。
 第1楽章は子守唄風のメロディをVが切々と歌ってゆくアダージョから始まり、途中からアレグロに転じて活き活きとした曲風に。ソロの間に挟まれるトゥッティでは「ゴジラ」のテーマが登場。それが一段落すると再びゆったりした曲風になるがすぐまた速い音楽に戻り、そのまま突っ走る。
 第2楽章はティンパニ独奏から始まり、民謡風のメロディによるゆったりした音楽へ。Obがゴジラのテーマの変奏風のメロディを提示すると速い音楽になり、Vのソロが素朴で荒々しい音楽を先導してゆく。ヴァイオリン協奏曲にしては珍しく小太鼓、トムトム、コンガといった打楽器やHpも加わり、伊福部らしい土の香りがする音楽が聴く者の魂を揺さぶる。
 山根は中学3年で日本音楽コンクール第1位を受賞した俊英だが、骨太の音で伊福部の世界を大胆に切り拓いてゆく。

 シューマン2番、ティンパニは前半に使われた通常のものでなく、第2Vの後方に置かれた古楽用の小さいものを使用。Hrも前半は第2Vの後方にいたが、後半はFgの上手側へ。
 第1楽章、速めのテンポ。練習番号AのUn poco piu vivaceや第1主題が始まるAllegro ma non troppoになってもほぼテンポは変わらない。心地良い推進力を感じる一方で、オケ全体を鳴らそうとする意識が強いのか、しばしばメロディパートが埋没する。
 第2楽章も速いが少し抑え目のスピードで始まる。21小節目などのpoco ritardandもほんの少し遅くしてすぐ元のテンポに。トリオ�気任眤�いテンポは維持されるが、10以降の弦のフレーズなど良く歌わせる。スタッカートを活かして軽快な雰囲気を作った後主部の主題に変容していく部分も面白い。トリオ�兇蘯臧瑤箸魯�ラリと曲想を変化させ、ロマンティックな雰囲気に。
 コーダでテンポを一段上げ、正にラストスパートという感じで駆け抜ける。
 第3楽章、ほぼ標準的テンポ。ここでも音楽の流れはスムーズで、8以降のObソロなど、過度な抑揚は付けない。48以降息長く盛り上げていく場面、徐々に緊張を高めるが極端には追い詰めず、響きの美しさを維持。
 アタッカで第4楽章へ。ここも速めのテンポ。ハ長調で勢いよく進む音楽の流れに対して、太陽に雲がかかるような短調のフレーズが何度も絡んでゆく。両者の音色のコントラストが面白い。GPを3回挟んで木管が提示する変ホ長調の主題からまた曲想が変わり、憂いに満ちた雰囲気になるが、再び冒頭主題が回帰すると力強さを取り戻し、そのまま終盤へ突き進む。ティンパニソロで少しブレーキをかけてから最後の和音へ。
 派手さこそないが、室内楽的に緊密にまとまったアンサンブル。何度も共演しているスダーンの指揮に安心して身を任せている感じ。

 団員解散後も拍手鳴り止まず、スダーンの一般参賀。
 在京だけでなく地方のオケもコロナの影響で厳しい状況が続いていることに変わりはない。そんな中今回も無事東京公演が実現し、素直に嬉しく思う。今度はこちらから札幌へ聴きに行く番だ。1日も早くその日が来ることを願っている。
 

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