ヴァイグレ指揮読響
〇2026年7月25日(土)14:00〜15:55
〇東京芸術劇場
〇3階K列51番(3階最後列上手側)
〇シューマン「ゲノフェーファ」序曲
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番変ホ長調」Op73(皇帝)(約39分)(12-10-8-6-4)
+シューベルト/リスト「連祷」(以上P=阪田知樹)
メンデルスゾーン「交響曲第4番イ長調」Op90(イタリア)(約29分、第1楽章提示部、第3楽章繰り返し実施)
(14-12-10-8-6、下手から1V-2V-Vc-Va、CbはVcの後方)(コンマス=日下)
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一陣の涼風が吹き抜ける
常任指揮者ヴァイグレ指揮の読響、今月3つ目のプログラムもオール・ドイツ音楽。しかも名曲揃い。ほぼ満席の入り。
「ゲノフェーファ」はシューマンが完成させたオペラであるが、上演される機会はほとんどない。タイトルはヒロインの名前。夫の遠征中に魔女の力を借りて言い寄る家臣に苦しめられるという領主夫人の物語。ハ短調の不穏な響きの和音は家臣の恨みや呪いを表現。主部の主題もハ短調だがロマンティックなメロディ、ゲノフェーファに襲いかかる悲劇を暗示。途中でハ長調に転じ、Hrが勇壮なファンファーレを奏でる。これが彼女の夫のテーマらしい。これらのテーマが絡み合い、最後は歓喜の結末を暗示する華やかなフィナーレとなる。オペラの場面が目の前に浮かびそうな、生き生きとした演奏。
阪田は若手ピアニストのイメージがあるが、フランツ・リスト国際コンクールに優勝してもう10年になる。デビューからは15年経つという。
「皇帝」第1楽章、冒頭のカデンツァは迫力よりも音の流れを重視した弾き方。5小節目の全奏直前のフレーズを指示通りエスプレッシーヴォで時間をかけて弾く。テンポはやや遅めか。重厚なオケの全奏を経て107から始まるソロも流れるようなフレージング、117以降のスタッカートは控え目。144以降のsfもさほど目立たせない。変ロ長調に転じる184以降の弦のピツィカートが印象的。
展開部で変ホ短調になる304以降のオケとソロのやり取り、ソロ側ffの和音は軽め。311以降のスタッカートもあまり強調しない。
362で冒頭の全奏に戻り、363以降ソロのカデンツァも迫力より和音のバランスを重視した響かせ方。
終盤496以降のカデンツァも丁寧な弾きぶり。
第2楽章、16以降のソロはレガート重視で、心地良い。テンポが落ちても音楽の流れは途切れない。
第3楽章のソロも滑らかな音楽の流れを維持。ただ、同じようなフレーズを繰り返す中で、後半は少しマンネリな雰囲気も。
オケが小さめの編成で引き締まった響きを聴かせる中、オケに音量や力強さで対決するのでなく、寄り添うような弾き方。室内楽のような感覚で弾いているようにも聴こえる。
アンコールはリストが編曲したシューベルトの歌曲。技巧的な曲のはずなのにそのような雰囲気は全く見せず、祈りのメロディを切々と聴かせる。ああ、この人は「歌うピアニスト」なんだ。
「イタリア」第1楽章、速めのテンポで軽快に進む。158以降しばしば挿入されるClソロが印象的。提示部を繰り返すので、その前のフレーズを聴けるのが面白い。展開部に入ってイ短調に転じる206以降、第4楽章の予告のような緊張感。
第2楽章、3以降Ob,Fg,Vaによる主題が郷愁を誘う。長調に転じる45以降のClのアンサンブルも美しい。
第3楽章、レガート重視の穏やかな音楽。ホ長調に転じる76以降のHrとFgのアンサンブル、少しのんびりした雰囲気が出て面白い。
第4楽章、速めのテンポで疾走。これまでにない張り詰めた雰囲気に。終盤の186以降、1VのC−Cis−D−Dis−Eの半音階をメロディとする弦楽合奏を3回繰り返す場面、1回目と3回目にアクセントが付いているのでそれを強調するが、2回目はないのでレガートに弾かせる。
前回の「アルプス交響曲」も真夏にふさわしい曲だったが、この日の「イタリア」も重厚な響きを保ちつつも、一陣の涼風が吹き抜けるような、爽やかな演奏。
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