ヴァイグレ指揮読響
〇2026年1月24日(土)14:00〜15:55
〇東京芸術劇場
〇3階K列21番(3階最後列下手寄り)
〇エミーリエ・マイヤー「ファウスト」序曲
シューマン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」(約31分)
+ニコラ・マッティスJr.「ヴァイオリンのためのエア集」第2巻より「ジーガ(Giga)」
(以上、V=イザベル・ファウスト)
メンデルスゾーン「交響曲第3番イ短調」Op56(スコットランド)(約41分、第1楽章提示部繰り返し実施)
(14-12-10-8-6,下手より1V-2V-Vc-Va,CbはVcの後方)(コンマス=林)
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ファウストの豊かな歌心
常任指揮者ヴァイグレによる読響演奏会、3つ目のプログラムはシューマンとメンデルスゾーン中心のプログラム。9割程度の入り。
エミーリエ・マイヤーは2人と同じ時代に生きた女性作曲家として、近年脚光を浴びているという。もちろん彼女の曲を生で聴くのは初めて。
ロ短調、Fgと低弦の地底で何かがうごめくような不気味な序奏に始まり、徐々に感情が高ぶっていくが長続きせずひと段落付いたところで、悲劇のヒーローが奮戦しているような第1主題に続いて優美な第2主題が提示される。管によるコラール風のアンサンブルを経て2つの主題が回帰、発展しながらコーダに入ると第1主題がロ長調に転じ、最後は力強いユニゾンで終わる。弦と管の役割分担が明確で、熟達した作曲の技を感じさせる。
シューマンのヴァイオリン協奏曲は彼の生前に演奏される機会はなく、1937年に楽譜が発見されるまで埋もれていた作品。
第1楽章、苦悩を吐露するような第1主題とその苦悩を癒すような第2主題をオケが提示。ソロは54小節目以降第1主題を重音で弾き始め、疾走しては立ち止まるような息の長いメロディを奏でてゆく。第2主題で一旦落ち着くが、すぐにまた疾走を再開し、上昇音階と下降音階を繰り返しながらオケの全奏へバトンタッチ。
その後も長い音符を丁寧に並べていくかと思えば、ひたすら細かい音符を数珠のようにつなげていく部分も。終盤の332以降3連符のアルペジオが繰り返され、344以降は重音の連続となる。
第2楽章、変ロ長調。Vcのシンコペーションのフレーズがオケを引っ張っていく感じで、4以降のソロにも絡む。ソロもこれを受けて13〜14にかけて同じようなリズムのメロディを響かせる。
50以降第3楽章を予告するような16分音符の上昇フレーズが示される。それが徐々に盛り上がって行ってそのまま第3楽章へ。
第3楽章はニ長調、4分の3拍子、ソロは1小節を付点4分音符と16分音符6つを組み合わせたリズムを繰り返しながら音楽を主導。これに応えるオケは68や70などに登場する8分音符6つ、全てにアクセントの付いたフレーズで優雅な雰囲気を高めていく。ソロもこれに刺激を受け、技巧的なフレーズがどんどん増えていく。
ファウストのヴァイオリンは終始優美な音色を維持しながら、力任せに弾くような場面が全くないのに、しっかりホールの奥まで届いてくるのが不思議。
アンコールはバロック後期の作曲家、ニコラ・マッティスJr.の作品。終始ほぼ重音で弾く技巧的な曲だが、まるでソプラノとアルトの二重唱のように、どちらのメロディも情緒たっぷり歌わせているのに驚嘆。
「スコットランド」第1楽章、ほぼ標準的テンポ。管とVaによる物悲しい序奏に対し、63以降序奏の主題の変奏のような第1主題では心の平安をかき乱すような動きが出てくる。ppで始まるが、67や76にもわざわざsempre(常に)ppと指示されていて、ヴァイグレも忠実に守らせる。木管がメロディを受け継ぐ84以降ようやくpになり、次第に盛り上げていく。
提示部が落ち着いたところでカッコ1の木管の和音、なかなか聴けないので新鮮に感じる。
再現部が始まる333以降でVcをたっぷり歌わせるのが心に残る。
第2楽章、弦のトレモロの上に8以降Clが提示するメロディで雰囲気が明るくなる。速めのテンポで一気に駆け抜ける。
第3楽章も少しテンポは速め。1Vの哀愁漂う主題をあまり感情を込め過ぎずに歌わせる。33以降の木管による葬送行進曲風の主題で明瞭に雰囲気を変え、41以降の全奏では緊張感に満ちた響きに。しかし、51以降すぐ元の雰囲気に戻る。その後の雰囲気の切り替えも見事。
第4楽章、ほぼ標準的テンポ。2以降のVの第1主題はレガートで進むが、66以降のObの第2主題では69と71のスタッカートをしっかり刻ませて変化を付ける。しかし、再現部でFlが同じ主題を吹くところでは273や275にスタッカートは付いていないので、ほぼレガート。
イ長調に転じる後奏、475〜476にかけては少しだけ音量を落としてからクレッシェンド。
指揮者の棒が下りるまで静寂。聴衆にブラヴォー。
引き締まった弦の響きと、管楽器のふくよかな響きが終始バランスよくブレンドされ、聴き応え十分。
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