プレミアムコンサート 未来のハーモニー 武蔵野公演
○9月21日(月・祝)16:00〜17:05
○武蔵野文化会館大ホール
○2階37列5番(2階正面最前列下手寄り)
○今井光也「東京オリンピック・ファンファーレ」
 モーツァルト「劇場支配人」序曲K.486
 メンデルスゾーン「フィンガルの洞窟」Op26
 モーツァルト「交響曲第38番ニ長調」K.504(プラハ)(約24分、繰り返しなし)
+モーツァルト「デイヴェルティメント第17番ニ長調」K.334より第3楽章
〇梅田俊明指揮都響
(12-10-8-6-4、下手から1V-2V-Vc-Va、CbはVcの後方)

音楽を届ける使命を果たす

 公立のオーケストラの重要な役割の一つは、設置する自治体の津々浦々に住む人々に音楽を届けることである。東京都交響楽団も、「プレミアムコンサート」と称して、多摩地域や島嶼部で演奏会を開いている。新型コロナウイルスの感染者はなかなか減らないが、感染防止策を取った上で開催されることに。入口での検温、手の消毒をして入場。半券は自分で箱の中へ。客席は1階最前5列ほど空け、1席置きに座るようになっているが、販売していない席に特段の表示などはない。

 舞台の照明が落ちると、下手花道が明るくなり、4人のTp奏者による「東京オリンピック・ファンファーレ」。生で聴くのは初めて。客席には1964年の東京五輪を体験した人々も多数来場していたが、さぞ懐かしかったことだろう。
 司会(江原陽子)によると、この日のプログラムは「神童」の作曲家を取り上げたとのこと。当然モーツァルトの登場となるが、「劇場支配人」序曲とは渋い選曲。しかし、堂々とした響きの立派な演奏で、現在でも序曲が演奏される理由がよくわかる。

 もう1人の神童はメンデルスゾーン。「フィンガルの洞窟」はヘブリディーズ諸島の寒々とした空気や波しぶきを連想させつつも、完成度の高い管弦楽曲としての性格も十分に感じさせる演奏。

 そして「プラハ」。速めのテンポで隙のないアンサンブル。梅田の指揮ぶりは気品のある演奏を求めているようだが、重量感のある響きと躍動感の方がむしろ前面に出ている。私の席からは舞台後方に座っている奏者の楽器がよく聴こえる。すなわち、ティンパニとTpだけでなく、Fgの動きが目立って耳に入ってくる。

 アンコールのディヴェルティメントで、ようやく指揮者の手の動きと演奏がマッチした感じ。しかし、残念ながら今日のコンサートはここまで。

 客席には親子連れだけでなく、高齢者の姿も目立つ。都心のコンサートホールでの演奏会は再開されてきているとは言え、やはり自宅に近いホールで開かれるコンサートはありがたい。コロナ以降初めて会場に足を運んだ人たちも多かったようだ。こんなときこそ地元にオーケストラがあるありがたみが身に沁みる。前回の東京五輪を契機に設立された都響が、来年の東京五輪に向け、さらにその先を見据えて、公立オケとしての役割を十全に果たせるようになることを願ってやまない。

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